-後記-
『寝目の御神渡り』を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ここからは自己満足の塊の伏線明かしをしてまいります。よろしければお付き合いくださいませ。
まずは題名の『寝目の御神渡り』。
寝目は「いめ」と読み、「夢」の語源になった言葉です。(広辞苑より)
「御神渡り」とは
左近の第四武器「猛壬那刀」のモデルになっていると思われる(あくまで私の考えです)諏訪明神「タ
ケミナカタ」という神さまが、あるとき妻の八坂刀売命(ヤサカトメノミコト)と些細なことでケンカ
をし、奥さんが怒って、向こう岸の下諏訪に引っ越してしまいました。
残されたタケミナカタは寂しくなってすぐに奥さんの所へ謝りに行き、すぐ仲直りします。
それから毎日、日が暮れると、村人たちに知られないようにこっそりと舟を出して下諏訪に渡り、夜明
け前にこっそりと帰って来るという事を繰り返しました。タケミナカタノミコトはさみしがりやを村人
に知られると、みんなに笑われると思っていたそうです。なんか可愛い神さんです。
ある夜、タケミナカタノミコトはいつものようにヤサカトメノミコトに会いに下諏訪を訪れていましたが、
その夜は寒く、湖に氷がはりつめてしまいました。ヤサカトメノミコトは氷が解けるまで下諏訪にいることを勧めました。
タケミナカタノミコトは村人たちに知られたくないからと帰ることにしましたが、舟はどうにも動きません。
もうすぐ夜明けになってしまいます。
仕方なくタケミナカタノミコトは、氷の上を走り出しました。
その足音は地鳴りのようで、湖の氷もバリバリと音をたててひび割れ、タケミナカタノミコトが走った後には裂けた氷が
小さな山脈のように盛り上がっていました。
タケミナカタノミコトは誰にも見られずに帰りつくことができましたが、夜が明けて、湖の上に残されている氷の山脈が
諏訪の神宮寺から下諏訪まで続いているのを、村人たちに見つかってしまいました。
しかし、ふたりの神さまのいさかいを心から気にしていた村の人たちはタケミナカタノミコトを笑うどころか、ふたりの
仲が戻ったことを大変喜びました。
タケミナカタノミコトはそれからもずっと下諏訪へ通い続け、冬になると毎年のように、立派な氷の山脈ができました。
村の人たちはこの氷の山脈を「御神渡り」と呼んで拝むようになりました。
また、御神渡りのできかたをみて、その年の農作物のでき具合を占うようにもなったそうです。
と、いうことらしいです。
まわりくど〜いですが、ヒロインのデフォルトは奥さんにちなんで「刀売(とめ)」としています。
こんなの誰もわかんねえよ!というか、私も調べるまでは全然しらなかったので、自己満足も良いとこですが。
日本神話なんてイザナギとイザナミが矛でぐるぐるやってるうちに日本ができて、イザナミがなんか痛そうな目に
あってる間に子どもが生まれた(だっけかな…)という事と、アマテラスが弟のせいで引きこもった岩戸の話ぐらいしか
覚えてません。
一つ気になるのが左近は大和(奈良)出身ですが、タケミナカタは諏訪(長野)の神さまなんですよね。
軍神ってトコを取ろうとしたのかもしれませんが、大和の方にはそういう神さまいないんだろうか?
大和の方がむしろ本家に近くない?日本神話って。
なんで諏訪の神さんなのか?それが気になる。
左近が諏訪出身なら、話もそれなりにまとまったのになあ(笑)
それと、言葉の説明では五話ででてきた和尚の「霊(くし)ぶる力を〜」のくしぶる。
これは神秘的な、という意味の言葉です。
go/o辞書で調べたときに、「バ行上二段」って書いてあったのですが、思わず高校の授業思い出しました(笑)
上二段って……懐かし〜…
散々出てきていまいち効果の無かった文目(あやめ)の花言葉は「神秘的な人」で、それを夢渡りをするヒロインに
当てはめたかったのですが…うまく使うことが出来ませんでした。
ちなみに、文目と菖蒲(しょうぶ)は学術的には違うものらしいです。昔はごっちゃになっていたそうですが。
あとは夢の世界と現実との書き分けでしょうか。
私は夢のときはそれが夢だと認識してみたことが数えるほどしかないので、夢のときはその世界が現実だと思って
行動するもんだと思ってます。それしか分らないので。
左近の言動が実際と一致しないのは、その書き分けをしたかったからであります。
夢のときは夢の世界しかわからない。でも、目が覚めるとそれがおかしいって事に気づくこともある。
その間でぐるぐる苦悩する左近が書けていたらいいな〜と思います。
三成のお手紙作戦は、夢が深層願望から来るという話(ホントがどうかは分らないですが。よくありますよね〜
本当はこんなことしたいんだーみたいな気持ち)を逆手にとって、左近に悩みの種を植え付けていました。
結局左近はどんどんやばい方向へ行ってしまうわけですが(汗)
ただ単に三成を黒幕にしたかったのです。はい。それだけです。
三成と左近の会話が書いてて面白かった……夢書きとしてどうなんだろうか……
扇を飛ばす彼は良いツッコミ役になってくれました。
三成、ありがとう!(最後がそれか!)
ここまで読んでいただいて有難うございました。